ハワイって、いいとこでした。

2005.11.5 | TEXT

東京R不動産のメンバーとハワイに行ってきた。正直、最初はそんなに乗り気ではなかった。学生時代からバックパッカーで世界中のマニアックなエリアばかりをわざわざ選んで旅していたからだ。モロッコ、インド、トルコ、去年の家族旅行はウズベキスタン……。今さらハワイの風景で感動できるのか? まあ、東京Rのメンバーで行くのは間違いなく楽しいのでいいか、という気分だった。しかし、僕が間違ってました。すみません。毎年、ハワイに行く人々の気持ちがようやくわかってしまった、悔しいけど。

空港でレンタカーを借り、不思議なかたちをした溶岩の山を越え、カイルア・ビーチへ。オアフの東側に位置するこの地区は、観光地と言うよりも住居や別荘が多く、街は日常の顔をしている。リタイアした老夫婦の姿を数多く見かけ、落ち着いた空気が流れていた。ビーチには人影もまばら。今まで持っていたハワイへのイメージとはずいぶん違う。

早朝、海辺をただ歩いた。人影はない。

早朝、海辺をただ歩いた。人影はない。

僕らは海が見渡せるコンドミニアムを一棟借りて、メンバー7人でわいわいと過ごした。なんだか修学旅行のような、なつかしい気分だった。人数がまとまる場合は、絶対このほうがいい。自分たちでスーパーに出かけ食材や酒をまとめ買いし、みんなでつくる(僕は皿を運ぶくらいしかできなかったけど……)。

コンドミニアムのベランダからの眺め。まるでジオラマのようで、リアリティが抜け落ちてる。ハワイには、そんな風景が多かった。

コンドミニアムのベランダからの眺め。まるでジオラマのようで、リアリティが抜け落ちてる。ハワイには、そんな風景が多かった。

僕は仕事で途中帰国だったので、3日間だけのステイ。何をしたわけでもなく、ただ散歩した。浜辺や別荘地の間を抜けてただ、ボーッと。それが心地よかった。誰もいない朝のビーチをどこまでも歩いたり、遠くに見える山の山頂の小屋を目指して、軽いトレッキングをしたり。登って見るとそれは小屋ではなくて戦時中の監視壕で、ここが軍事上の要衝だったことを思い出す。膨大な商品の並ぶ巨大なスーパーのなかを徘徊したときもあった。アンドレアス・ガースキーの写真のなかに迷い込んだようだ。

職業病としかいいようがないが、東京Rのメンバーは「FOR RENT」という看板を見つけては「オーッ」と盛り上がりながら、いちいち物件写真を撮っている。海辺の気持ちよさそうな家が、ときどき売られているのだ。そのうちハワイの海辺の快楽物件が東京Rのサイトにアップされる日も来るかもしれない。

ベランダで朝食。東京R不動産は、こんなメンバーでつくられてます。

ベランダで朝食。東京R不動産は、こんなメンバーでつくられてます。

一人だけ早く帰らなければならなかった僕を送りに、空港までメンバーがつきあってくれた。朝のフライトだったので少し早く宿を出て、ダイアモンドヘッドからの朝日を眺めた。にわかに空が明るくなり、突然まぶしい太陽が海から現れる瞬間、オレンジ色に変わるみんなの横顔をチラリと見ながら、なんかとても幸せな気分になっていた。

山肌に突き出すように建った、この建築が気になってしかたなかった。

山肌に突き出すように建った、この建築が気になってしかたなかった。

今回のレポートは、ただの旅自慢でした。すみません。写真中心でお楽しみください。

 

*こちらの記事はWEBマガジン「REAL TOKYO」に「ハワイって、いいとこでした。」というタイトルで掲載された記事です。

(文=馬場正尊)