気になる浅草を自転車で探索

2010.10.30 | TEXT

前々から、浅草エリアは気になっていた。誰もが知っている歴史的な場所だけど、実際あまり足を踏み入れたことはない。行くのは地方や外国から知り合いが来たときに観光に付き合うくらい。でも、冷静に考えるとそのエリアは、働いたり住んだりするのに、実は魅力的な場所なのではないか。

この日、R不動産の有志はその予感を確かめに「浅草自転車ツアー」に行って来た。なぜ、自転車かというと、R 不動産スタッフの東エリア担当は、ほとんどの移動を自転車に頼っている。東京の東サイドは平地なので、どんな移動手段より自転車が早い。同時に流れる風景のスピードや、街への距離感が物件を発掘するにはうってつけだからだ。

走りながら気になる建物をチェックしていく。そしてそれが実際に貸したり、売ったりしているかどうかを確かめ、内部空聞を確認でき、なおかつ魅力的だったものをワェブサイトにアップしていく。

まず、浅草周辺の地理を把握することから始める。僕らがイメージする浅草エリアとは隅田川の両岸一帯、南は浅草橋から、北は押上付近(2011年に完成するスカイツリーの足下付近)まで。地理的にも、歴史的にも、隅田川の存在が大きい。

そこには、まるで「20世紀少年」に出てくるような、昭和と不気味な未来が混在したような風景が広がる。まずコンビニが少ない。事も人もまばらな通りが多く自転車は走りやすい。

二階に住んで、一階、が店や工場といった「下駄箱式住居」という昭和によくあり、職住分離政策で消えていった建物が、ここには数多く残っている。一度捨てられたビルディングタイプだが、これからの時代、上に住みながら下を仕事場や店にするようなコンパクトな住まい方は魅力的だと思う。

 

*こちらの記事は季刊誌『オルタナ21号(2010年9月30日発売)」に「気になる浅草を自転車で探索」というタイトルで掲載された記事です。

オルタナ

(文=馬場正尊)