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田端のテラスハウス


時期:2013.03

所在地:東京都北区中里三丁目24番2号,3号,4号,5号

クライアント:ジェイアール東日本都市開発

規模:地上二階建て

建築面積:595.20㎡

延床面積:1,190.40㎡

用途:共同住宅



東京都心部から失われかけていたテラスハスス。昨年、それに出会った。JRのトンネルの上に建っていたから積載荷重に制限があり、高層住宅に建替えることなく典型的なテラスハウスの団地が残っていた。かつては国鉄の寮として使われていたが、5年以上空き家になっていたようだ。
改めてテラスハウスという居住モデルを見ると、それは今にこそ似つかわしい。
ヨーロッパの大都市、例えばロンドン都心の周縁部などでは今でもよく見かける住居モデルだが、日本ではめっきり見なくなった。高密度の都市部では土地利用効率が悪いため、高層化の道を選択したからだ。「テラスハウス=長屋」という構図が日本人の頭にあってリッチな感じがしなかったのも大きかったのかもしれない。しかしそれらは供給者側の理論である。
テラスハウスは住む側にとってはメリットが多い住居モデルである。低い建蔽率と容積率、適度な近隣との距離感、大地へのつながり、庭と居間が続き、のびのびとした生活ができる。庭にはそれぞれの生活がにじみ出て多様な表情を見せている。南北の窓を通り抜ける風が空調負荷を軽減、40年前の様式なのでエアコンに頼らない設計におのずとなっている。
今後、都市の人口も減少して行く。否応なく周辺環境や密度に対する設計姿勢も変化する。リノベーションでテラスハウスに向き合う機会を得て、改めてこのモデルのよさを再認識した。狭小一戸建てのように敷地を分断するでもなく、マンションのように生活を分断するでもない、適当につながった居住形態として、今後は新築へも新しい可能性が広がっていると感じている。
(馬場正尊/Open A)